12月13日。
夏休み以来の平日休み。
「平日しかできないことを....」と前々から気になっていた三鷹にあるNTT技術史料館。

場所は武蔵野市役所の裏。NTT武蔵野研究開発センタ内にあります。
何せ開館時間は毎週木、金の13時から17時までのみ(土日の開館は年に1度あるか?程度)。
なかなかサラリーマンは来れないですね。予約不要、入場は無料。

簡単に言ってしまえばNTTの企業博物館。
企業博物館と言っても天下のNTTです。日本の通信技術が全て結集されていると言っても過言じゃありません。
日本電信電話公社発足以降のNTTグループの技術史料がこれでもかと展示されてます。
開館10分前に到着。門も開いてなければ並んでいる人もゼロ。
(恐らくこの日来場した方は10人満たなかったじゃないのかな.....)

史料館の建物は地上3階、地下1階。かなり大きな建物です。
受付を済ませると、希望者にはガイドさんが付きます。
私たちもお願いしましたが、NTT研究開発センタのOBさんのようです。
館内の展示品、展示品の説明は広く一般の方にNTTのこと、日本の通信技術について触れていただこう....と言う目的で作られた様子は一切になく、明らかに玄人向けの展示に玄人向けの説明。
もともとNTTグループの組織改編時に過去の技術開発の資産を系譜化・集大成することが目的だったそうで、開館当初は一般開放はしておらず、NTTグループの社員か社員の紹介をを受けないと入ることすらできなかったそうで。
ですので、それほど通信技術に長けてない方はガイドは必須と考えた方がいいと思います。

最初は1890年、明治23年の電話加入者一覧。
電話番号が3ケタしかありません。

前島密、渋沢栄一、大倉喜八郎、後藤象二郎、石川島造船所、三井物産ほか歴史上の偉人、歴史ある企業の名前がズラリ。
当時の電話料金は従量制でなく、年間一括払いで使い放題。今の貨幣価値に計算すると年40万程度だったそう。個人使用ならともかく、企業で使うのであれば、かなりお得?。
電話交換機の体験コーナーでは電話機にダイヤルがなく、電話交換が全て人力でだったころの通話方法を学べます。

交換機で双方の電話をつなぐのに使うのはこのケーブル。
そう、今も使われているフォーンプラグ。
なんと電話の交換機で使われていたからフォーンプラグになったんですね。

ファックスのご先祖さん。
大正時代末から写真電送が始まったものの、海外製は画質が悪く、昭和3年に今のNECの開発者により、この電送装置が開発され、新聞社で使われるようになったそうで。

初期の公衆電話。いくら使ったか?は何と自己申告制。性善説で成り立ってました。
海外では絶対にありえない。

大阪万博で展示、実演されたワイヤレステレホン。
今の携帯電話ではなく、今で言う家の固定電話用のコードレス電話。
それでもケーブルなしで電話がつながることは正しく「未来の電話」だったんですよね。
膨れ上がる需要に対応するため、ダウンタイムを減らすため、電電公社の歴史は交換機の歴史と言っても過言じゃないです。
前述の完全人力の交換機から始まり

ステップバイステップ方式、

クロスバー方式、

電子式、

デジタル式、進化するにつれ、どんどん大容量、コンパクトになって行きます。
そしてはこれからはVOIP方式に変わり、ルータが交換機に変わります。



この施設はもともと一般向けと言うよりはNTTグループの社員向け。
だから交換機の保守ツールやマニュアルまで展示されているのがすごいところ。




交換機と交換機を結ぶケーブル、中継器も大きな進化が。今は光ケーブルですね。

最近、電柱のそばに引っかかっている光ファイバーのクロージャー。中はこんな感じです。



交換機が小型化すれば電話局の作り方も変わるし、信号送信技術が変われば建てるアンテナも変わります。
最近は光ネットワークが張り巡らされ、あまり電話局の上にアンテナが付くことも少なくなりましたが。
今って窓口がある電話局ってあるんですかね?。
今、加入電話申し込むっていうと116にかけるか?WEBサイトから申し込むのかな?。



末端の電話機も随分と進化を遂げました。

懐かしいグレ電、ICカード公衆電話も。パソコン通信していた方は結構使っていたんじゃないのかな?。
モバイル系の展示も圧巻。



まずは東京テレメッセージの撤退により50年の歴史に幕を閉じることになったポケットベル。
サービス開始直後から晩年のポケベルはもちろん、呼び出し装置の展示、技術説明もバッチリ。

携帯電話はもちろんショルダーホンからスタート。



自動車電話、アナログムーバ、デジタルムーバ、そしてFOMAへ。
この頃の方が種類も多くて、端末選びも楽しかったですね。今や自分はiPhone一択ですからね。

モバイルギアにポケットボード!。
使ったインナーネット老人も多いでしょう。

インターネットのゾーンでは初めて日米間をTCP/IP(現在のインターネットで標準的に使われている通信規格)で接続したルータが展示。ここから日本のインターネットが始まりました。

現在日本最大のプロバイダ、OCNの黎明期に使われたルータ。

パソコン通信時代からネットにつないでいる方には涙モノのアナログモデム、ISDNルータ。
正しくこの左側のアナログモデム、繋いでましたよ!。

日本初のADSLの局内装置。ADSLは日本で始まった直後から使い始めたのでとても感慨深い!。
正直紹介できたのごく一部です。
13時開館から17時の閉館までキッチリいました。これでも時間は足りなかったなって思うぐらいで。
じっくり見たい方は2日は確実に必要。
大学で弱電やっていた人は本当に涙モノだと思います。
あとアラフォーアラフィフのパソコン通信やっていた世代もバッチリ。
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